オランダの教育現場の視察に行って、驚いたことはたくさんあります。
オランダでの時間で体験したことを、テーマにわけてシェアしていきますね。
※音声配信もしています。よかったらこちらもどうぞ↓
https://stand.fm/channels/63b2d6a07655e00c1c71047e
オランダの視察で、先生方と何度もこのテーマでお話しました。
「不登校」について、です。
視察から帰国して見えてきたことも併せて、まとめてみました。
オランダで不登校はあるのか
子どもの幸福度NO.1の国であり、子どもの幸せを中心にしている教育環境や、
社会をデザインしているオランダでも不登校はあります。
2022年には、約18000人。
2021年は、15000人ほどだったので、
1年で3000人ほど増えている状況です。
実は、年々増えているんですね。
2014年から「適切な教育法」という子どもにあった適切な教育を実施する法律が施行され、
学校が子ども1人1人に必要な支援をすることが義務付けられました。
その上で、9年たっても学校に行けない、または行かない子どもたちが年々増えているんです。
オランダの不登校対応
・両親
・学校
・専門家
・地域のチーム(児童心理学者・カウンセラー・行動障害の専門家など)
全員が連携して、不登校のサポートを行います。
①どうやったらまた学校に来れるかを、考える
→オランダは、学校以外で教育を受けることが認められていないためです。
②学校にこれない子どもたちは、家で授業を受けられる
→1日でも学校にこれない日があることは、オランダでは大変なことです。
子どもが教育を受ける権利を大人がサポートできていないことになります。
どうやったら学校に来れるかを考えながら、必要であれば家庭での教育をサポートしています。
この場合、国が定めているスタディーコーチがそれぞれの家庭に派遣されて、
その子一人一人にあったレベルに沿った授業を行っています。
家庭で子どもの学習をサポートする人は、誰でもいいわけではないようです。
学校を変わるという方法
子どもが学校の方針や教育手法などと合わないと場合や、
学校がサポートできる範囲を超える場合、学校と合わない場合などは、
違う学校に転校するということもあります。
その場合、生徒、保護者、学校としっかり話し合いをし、
子どもの幸せが何であるかを確認します。
このプロセスは、いくつものステップを踏み、
専門家も入り、とても丁寧に行われるそうです。
そのすべてのプロセスを経ても
やはり違う環境のほうがいいと判断された場合、
転校先は、今所属している学校が責任を持って探したり、提示するそうです。
その子の次の環境を、
学校が一緒に考えて、そして責任を持って提示する。
このプロセスを経て、次の学校へと転校していくそうです。
その他の選択肢は・・・
私が視察に行ったには、実は上記以外の話を聞かなかったのですが、
帰国後、オランダの子どもニュースや、オランダのニュースを追いかけているうちに、
いくつか他の選択肢も見えてきました。
★ホームスクーリング
オランダでは、ホームスクーリングは認められていない、はずで、
上に書いたとおりの対応の話を聞いていました。
しかし、先日のオランダ子どもニュースでは、ホームスクーリングの子どものニュースが放送されていました。
何かが変わってきているのかもしれませんね。
その他にも、
★学校ではない別の教育・居場所
→学校の勉強以外で何かに挑戦したい子どもたちのレッスン(クリエーティブな技術を習う場所や教室)などに参加したり、
ケアファームや、個性を育てる教室などに参加したりと、様々な選択肢があるようです。
※ケアファームとは・・
ケアファームとは、オランダの農福連携システムとして世界中から注目されているものです。
介護と農場を合わせ持つ施設で、認知症、精神疾患、発達障がいの子どもたち、不登校などの人たちに対して、
デイサービスや居場所を提供している農場のことである。
ケアファームの詳細は、こちらに書きませんが、ご興味ある方はググってみてくださいね^^)
ただし、これらの多くは正式な学校ではないため、教育指導要領の内容を学ぶことが難しい。
そして、正式な学校ではないということは、運営費の資金繰りなどの難しさもあり、子どもたちを受けていれている人たちは、
「正式な学校に合わない子どもたちのための教育」への予算を増やしてもらえるよう、働きかけており、動きが始まっているようです。
このあたり、まだまだ私も勉強中です^^
不登校は世界共通のテーマ
日本はなぜ不登校の子が多いのか?ということを聞かれますが、
不登校は日本だけのテーマではありません。
オランダをはじめ、今この時代、この瞬間に、世界中で起きている
「共通のテーマ」なのです。
なぜ、不登校というテーマが浮かび上がっているのか。
その根源には何があるのか。
本当の問題は、何なのか。
どんな子でも教育を受けることができるために、何が必要なのか。
私たちは、取り組むべきテーマは・・・・。
そんな問いを持って、適切に向き合っていく必要があるように感じています。
オランダは、課題先進国。
オランダの取り組みを見つつ、
日本の現実を見つつ、
このテーマに向かい合っていきたいと思っています。
一番大事なことは、
「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えられていくことだと思います。
そして、
「子どもの意見や考えを生かし、いろいろな場面で子どもが参加できるようにする」ことが、
このテーマをいい方向へ進ませていくことに繋がっていくのではないかと感じています。
大人と子どもが、このテーマに対して、
同じ目線で対話していくことで生まれてくるものと、
私は考えています^^
みなさんは、どう思われますか?