自分がされていることが何なのか。理解できないからこそ。(ハラスメントと性的虐待体験について)

このことを書くことは、ずっと躊躇があって(該当する人が特定できる可能性があるからです。)、
自分の中では、自分の中に留めたまま葬ればいいと思っていました。

高校のクラブ内で体験した、ハラスメント(性的虐待)についてです。

今、性的虐待をカミングアウトする勇気ある人たちが、
たくさん出てきていますよね。

願いは同じなんだと思います。
もうこういうことが起きないでほしいこと、
そして、こういう文化や習慣を終わらせたいこと。
その願いだけを持って、シェアしようと決めました。

そして、もしかしたら気が付いていないかもしれないけれど、
知らない間に受けてしまっているかもしれないし、
知らない間にそういうことを誰かにしてしまっているかもしれないことがあるかもしれない。

このハラスメントと虐待文化は、次の世代には引き継ぎたくない。

※近い体験をお持ちの方は、もしかしたらフラッシュバックする可能性があるかもしれません。
ご注意の上、お進みください。
そして、私が高校生(1995-1998年当時)だった当時の話です。現在はどうなっているか、わかりません。

※性的虐待とは
性的虐待とは、上下の発生する関係性において、上位の者がその力を濫用もしくは悪用して、下位の者の権利・人権を無視して行う、性的な侵害行為のことである。性虐待ともいう。略語としては性虐という言葉もある。広義には強姦、セクシャルハラスメントなどが含まれる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クラブ内の日常(ハラスメント含め)

私が所属した高校のテニス部は、いわゆる強豪校でした。
運動部特有の、上限関係。
一年でも上のものが偉い。
練習も上級生がいい環境、下級生は球拾い、練習時間は少し。
先生(コーチ)の言うことは絶対。
暑くて倒れようと、本人が弱いから。
普通に手が出る、普通に叩かれる(顔)部員がいる。
新しいマッサージを手に入れては、部員に試す。
痛いといっても、やめられるわけではなく、他の部員に抑えられて、先生がいいというまで続けられる。
先生の機嫌が悪くなると、練習に影響がある。
機嫌次第、機嫌を伺いながらの練習。

こういう文化が、日常のクラブでした。

私は、中学までは外のクラブで、こういう文化と無縁にテニスをしてきて、
コーチが怒鳴るとか手を出すとかなかったし、
年齢関係なく対等な人間関係があり、
練習時間も対等で、準備も片付けも、何もかも練習に参加している人全員で一緒に行う。
体力づくりのトレーニングは当たり前にあったけれど、
水分補給、体調管理は当たり前にケアしながら実施されていて、
それが当たり前で、7年近くテニスをしてきた私には、衝撃でした。

高校ではじめて出会った文化でした。
(試合会場で、こういう学校の様子を遠目から眺めていましたが)

この時代、当たり前にあったよね?と言われることかもしれませんが、
私には、理解できなかったものばかりでした。

吐いても食べろという

合宿や遠征があると、先生を含めて選抜メンバーと共に数日一緒に過ごします。

その際に、必ずといってあったのが、
「先生が選んで頼んだ食事を、全部食べるまで帰れない」という時間でした。

遠征とかに行って、どこかのお店に入って、晩御飯をみんなで食べますよね。
3人くらいで1つのテーブルに座ったら、先生が注文をします。

先生が、量を決めて、それぞれのテーブルに食事が配膳されたら、
「全部食べろ」と言わることがありました。

明らかに多いんです。
絶対に食べきれない量が来る。

残すことは許されない。
食べれないも許されない。

食べれないなら、トイレにいって吐いてこい。
実際にトレイに行って吐いている人もいたんじゃないかな。

テーブルの上にある食事がなくなるまで、店を出ることが許されない。
お腹がいっぱいだろうと、気持ち悪かろうと、胃に入れるしかない。

先生が言いというまで、動けない。
恐怖でしかなかった。

順番に、○○言わさるという体験

先生が機嫌がいい時か何かにあった、食事会。
学校の近くの行きつけのようなお店で、高校生メンバーと先生で、
食事会のようなものがありました。
先生がご飯をおごってくれる会みたいな感じのものです。

その食事会の後半になると、必ずと言っていいほど
「おい、言え」みたいな感じで、急に何かを一人一人言わされるみたいな時間がありました。

先生が言えと言ったのは、
お寿司のネタで女性器を想像できるもの(主に貝です)を、
一人ずつ言え、みたいなものでした。

先輩からはじまる。
一番最初の時は、何をしているのか、何が楽しいのか、
全くわからなかったんです。
ただ、空気がとても気持ち悪かった。

次の年は、途中に気が付きました。
ただただ怖くて、回ってこないで、はやく終わってと祈っていました。
いつも先輩たちが上手にあしらって?くださって、
先生が満足したところで終わったので、
私には回ってこなかった。
ただただ恐怖と嫌悪感がありました。

誰かに言わなかったのか

誰にも言わなかったです。
そういう発想にも至らなかったし、
それが当たり前で、そうしないといけないんだって思っていたんだと思います。
部員でそういう話をしたこともなかった気がするな。

高校のクラブ時代、母はとても心配していました。
ただただサポートをしてくれていました。

卒業後、あの時は洗脳されていた、何かを言っても聴かない、本当に心配だった。
と、話してくれました。
先生は絶対、そこから抜け出すことも、そこに異を唱えることをオモイツキもしなかった。

リフカー研修を通じて、はじめて理解した性的虐待

自分が体験したことを本当の意味で理解した瞬間。
それは、2016年に受講した「リフカー研修」という研修に参加していた、
まさにその真っ只中で起きました。

※リフカー研修とは・・・・
性虐待初期対応RIFCR(リフカー)研修
~子ども虐待、特に性虐待への理解と初期対応被害が疑われる子どもへの聴き取り方を学ぶ~

虐待を受けたのではないかと思われる子どもから
話を聴くことを大人はためらいがちです。
しかし、被害の最大の“目撃者“である子どもから
適切に話を聴くことは、子どもを虐待環境から
救い出す上では絶対に欠かせないステップであり、
通告義務者は特にそのスキルを
身につけておくことが望まれます。

身体的にはほぼ症状のない性虐待の場合、
とりわけ聞き取りが重要です。
性虐待への対応を身につけることは、
その他のあらゆる虐待・体罰・いじめ等の
被害児からの聞き取りに有用となります。

詳細な調査(司法面接)の前段階の
現場の我々が、最初の聴き取りの際、
子どもたちから何をどのように聴くべきか、
そのことを知ってもらうのがRIFCR研修です。

プログラムの内容
*オリエンテーション
*子どもは性虐待をどのように経験するのか
*虐待を打ち明けるプロセス
*性的発達
*日本の児童保護制度
*RIFCR?(リフカー)プロトコル

この研修の中で、性的虐待とは何かという話の中で、
はじめて自分が体験したことが、性的虐待だったんだということを知りました。

ロールプレイ体験がありました。

ロールプレイ練習では、被害が疑われる子ども役と、子どもから話を聞く大人の役と両方を体験します。
子どもの役になってみたら、話すことを躊躇してしまう。
子どもの立場から感じることで、子どもの気持ち、行動がどう伴うのか、感じてみることができました。

ものすごく怖くて、そして勇気がいることかと。

この怖いを、自分は知っている。
自分に起きていたことを、10年近くたって、大人になった自分が救い上げることになりました。

自分が高校時代に感じた恐怖や感覚は、こういうことだっんだ。
嫌悪感はあったけど、嫌悪感だけで。
それが何かなんて、理解していなかった。
自分が(自分たちが)受けた出来事は、実は性的虐待だったんだ。

そこで、はじめて、自分に起きたことも、
自分が持っていた感情も、理解して整理ができました。

ただ、そこから抜け出すのには、そこから数年かかりました。

どう受け止めていくのか。
そういう話になったんです。

この時の体験は、自分の中で消化できなかったんだと思います。
違和感や、気持ち悪さ。
わからない、理解できない。
そう気持ちや嫌悪感は持っていたけれど、それがどういうことなのか。
そこには、自分の理解が追い付いていなかったんでしょう。

3年間、実際にその中で過ごした中で、
この理解できない抑圧に、抗うことはできませんでした。

抗うこと=テニスをやめること

自分以外、この違和感に違和感を感じている人が、いるように感じなかった。
(本当は、たくさんの部員が違和感を感じていたのかもしれないけれど。)

最後に

なぜ、この話をしようと思ったのか。
それは、冒頭にも書いたとおりです。

そして、高校生と言えど子どもであること。
今の子どもたちはどうかわからないけれど、
自分のいる環境の中で絶対的に力を持っている人に、
逆らうことはとても難しいこと。
力関係を感じる場所では、順応しないと生きていけないというのが本質的にあるのだと思います。

子どもたちは、目に見えないところで、体験していることがあり、
理解できずに受け取っていくことがある。

その多くは、成長に繋がったり、幸せだったり、可能性のカギになるものだけれど、
もしかしたら一部は、虐待やハラスメントが混じっている可能性あることを、どうか知ってほしい。

「言ってくれたら・・・」は、子どもに難しいことも、
その考えに至らないこともあるということを知ってもらえたらと思います。

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