視察日:2015年9月8日
視察先:Marnix Academie
実践大学、応用大学として、
オランダでは小学校の教員養成をしています。
1400人の学生が教師になるのために勉強しています。
また、基本は4年制でこちらでは卒業すれば学士とみなされるようです。
準学士号、修士号、多くの高等専門教育コースもあります。
教員になるための学生向けだけではなく、現役教員向けの授業も提供されていました。
教員養成カリキュラム
■大きな柱
1.教科
2.教員実習(コーチング)
3.教授法
四年間、ずっとコーチとコーチングを体験しながら、実践をもとに理論を習得していく。
■理論と実践の結びつき
学生は、入学をすぐに実習に入ります。
大学が提携している小学校は、約340校だそうです。
実習の内容は、
・授業の観察
・授業内で、子どもたちのサポート
・少人数でのグループ授業
・授業内での指導
等。
段階を追いながら行っていきます。
1年目→入学し2ヶ月のオリエンテーションの後、12週間続けて実習
3年目→1週間に2回
4年→1週間に3回
実習では、職業観も学びます。
教師とは、どんな仕事なのか。
教師とは、どんな存在なのか。
教師とは、どんな仕事なのか。
実際に実習先(小学校)で子供たちや教師と一緒に過ごしながら学んでいきます。
その学びを通し、授業を準備したり、そのほかの活動をどのように行っていくのか、自分で考え発明していきます。
集団を理解し、子どもたちとの関係を築く方法も学んでいきます。
■教員技能について
教員技能について、7つのグループがあります。(国が指定)
8つめは、大学独自で定めたものです。
学生は、自分の責任で学んで達成することが最も重要であり、
そのために、スタディコーチングがサポートしていきます。
goals
先生のprofessional identity
competency skills
study skills
・大学の勉強そのものをどう行うか
self direction
responsibility
・自分で計画して実行していく
・少しずつ自分でできるようにサポートしていく
unique vision inspiration
・教師になりたい動機をしっかり持つ
・個人の教育理念
・自分の強みを見る
・貢献価値を見つける
2-3ヶ月で4つくらいの計画を立てていきます。
計画は、学生が自分で決めます。
4年やっていくと、自然に技能は手に入ります。
※特異性(個性)を育てることを大事にしている
■Reflection(省察)
Reflectionの機会を、とても大切にしています。
毎週もしくは2週間に1回は、少人数でグループを作り、他の学生と一緒に振り返りをします。
・メンターと他の学生と一緒に、小グループのサークル対話のようなスタイルで行う省察
・メンターと他の学生と一緒に、自分が実践した授業の記録(動画)を見ながらの省察
があります。
同時に、メンターや学生同士でフィードバックをし合い、学びを深めていく機会にもなっています。
Reflectionを実際に体験することは、自分が教師として育っていくプロセスでもありますが、
実際に自分が教師になり、担当するクラスの子どもにも同じようにReflectionをできるための指導でもあります。
※Reflectionの方法としてはオランダ出身の教育学者のコルトハーヘン教授が、具体的な実践法としてALACTモデルを提唱します。
※ご参考※
教師教育学:理論と実践をつなぐリアリスティック・アプローチ/F. コルトハーヘン (著)
■グループコーチング
10人で1グループ、進行役が1人つきます。
1-4年で省察レベルが違います。
1年目は、教育実習に行って「何がよかったか」にだけポイントをあてて振り返ります。
■コーチング実践
・学生同士でコーチングを行う
・先生とコーチングを行う
・学校に出向いて、子どものコーチングを行う
あらゆる場面で、コーチングを実践しながら学びます。
■portfolio(ポートフォリオ)
4年間のreflectionであり、自己証明です。
入学から卒業まで、自分で記録をつけていきます。
portfolioとして、自分のサイトを作成します。
写真や、動画なども使って作っていきます。
※卒業時、portfolioをプレゼントして担当の先生(卒業を判定する外部の先生)にも見てもらう。
portfolioは、自分の理念が実証されているかどうかを、自分で証明するものです。
■success factors
・relation 信頼
・coaches are competent コーチの質がいい
・development lins
・vision
・comportency
指導するコーチは、講習が終わっても、年に3・4回集まってスキルupをします。
学校で1年度の習得度が決められているため、
学生たちにコーチをしながら
理論→実践にできる
実践→理論にできる
両方ができるように、サポートしていきます。
教員養成の変化について
1992年にはじめて、
実習に重きをおいた授業にかわりました。
それ以前は、日本と同じような教員養成の手法でした。
14年前に現在のやり方がスタートしました。
「学生から自分から学びたいという要望が出てきた」
そのタイミングで、授業のやり方をティーチングから、コーチングへ変えました。
授業を変えたことを、国(オランダの教育庁)が驚いたとともに、監査が入りました。
学校管理局が新しい手法を監査し、その後、新しい手法と実践の成果がわかりました。
そして、大学の1つの変化をきっかけに、国の教員養成のあり方と手法自体がが変わりました。
視察の感想
学内でパチリ!
日本と大きく違った教員養成の在り方に、とても驚きました。
「昔は、日本と同じだった」
「変えていくきっかけは、学生の言葉だった」
かえていった学校と、
かえていくとに携わった先生にお会いして、
実際にお話を伺えて、鳥肌がたった時間でした。
そう、オランダは変わっていったから、今があるんですよね。
日本も、変わっていける。そう確信を持てた時間でした。
素晴らしい体験とご縁を、ありがとうございました。