視察日:2018年10月3日(水)PM
視察先:Gerrit Rietveld College(テクナジウム実践 中高一貫校)
オランダの新しい教育手法の1つ
「テクナジウム」
はじめての視察、ドキドキ!!!
どんな手法で、どんな学校なんでしょうか。
「実際の問題に対して創造的な解決策を考え出す」
テクナジウムは、VWO アドバイス、HAVO または HAVO/VWO アドバイスを提供する好奇心旺盛な学生のためにあります。ここでは、さまざまな科学の世界を知ることができます。これらは、たとえば、化学、生命科学、物理学、プロセス工学などに関係します。(引用:学校のHPより)
※15時からの視察と、学生の写真不可だったため、文字メインのご紹介になりますm(__)m
学校運営について
学校をマネージしているものは・・
・校長→ 教育、コミュニケーション、人事 、個人の特別支援
・副校長→建物、ict、経営
あと5人の主任がいます。
生徒数:1340人
先生:90人
サポートティーチャー:30人
7つのドメインに分かれています。
1.1-2年
2.3-4年
3.理数
4.言語
5.社会、人
6.美術
7.スポーツ
1.2年は、先生が教室に来るそうですが、
3-6年は、教科のクラスへ、移動して授業を受けます。
各ドメイン、オープンスペース、グローススペースあります。
どちらを使うかは、授業の内容などで都度かわります。(先生が決める)
(例)
一度授業をマスターした生徒は、オープンスペースで自習できるようにし、
まだ理解ができていない生徒は、クローズスペースで、先生が引き続きレクチャーをします。
教え方、質問、評価の仕方など、
先生によって違いがでないように、フォーマットあります。
授業見学
■16.17歳の数学授業見学
6年生コースの5年生
自分に、必要な、技術を復習中。
自習時間は、イヤホンで音楽を聴いてもよく、
数名の生徒は、イヤホンで好きな音楽を聞きながら、自習していました!
1日の休憩時間は、
午前中2回とランチ休憩で
以降の休憩は無しだそうです。
授業は50分授業で、チャイムあり
■空間の使い方について
オープンスペースとクローズスペースの、家具違うようにデザインしています。
オープンスペースは、4名、6名など、あらゆるレイアウトで座れるように!
オープンスペースに、主任アシスタントの机あり。
ガラスばりの部屋になっていて、生徒をみえる場所。
職員室→仕事なし、コミュニケーションの場
先生の部屋→それぞれの先生が仕事をする場所
になっています!
■ラテン語の教室
ラテン語の先生は、自分の教科のフェイスブックページを持っていて、
先生が授業に活用しているそうです!
先生がフェイスブックに宿題をあげる→生徒をみる
生徒たちが好むメディアを使うように工夫している。
今は、フェイスブックからインスタにシフトしてきているそう・・・
今月の、言葉を選んでかけているそうです。
■スポーツのドメイン
2日@2時間(50 分×2)/1week
グループ3つにわけて、アクティビティを行っています。
■アート文化のドメイン
音楽室の隣がステージ!!
そのまま、楽器をステージに、運べるようになっています。
生徒は、自分が 選んだ音楽のプロジェクトを行い、
音楽を研究し、発表します。
■美術、木工のドメイン
大きな機械は、先生のスペースの そばにあります。
今は、家庭にある機械を使って作る流れに変わってきています。
■サイエンスのドメイン
■ICTについて
生徒が1人一台ノートパソコンを持っています。
企業との取引で、安く購入できるサポートをしています。
学校内の、wifiは安定しています。
先生のパソコンも、いいものを用意しています。
■ロッカー
生徒のロッカー、1人1つ用意しています。
鍵式の廃止→鍵を無くす生徒が出るので・・・
今は、自分の学生証が、パスになっているます。
学生証をかざす→鍵が開くシステムへ!
高学年は、1クラスの人数は26-27人になります。
高学年は、専攻のため1クラスあたりの人数が少なくなります。
■テクナジウムルーム
机と椅子のタイプが色々なものになっています。
→自分の作業や取り組みによって、ベストのものを使えるように!
テクナジウム
生徒が主導、リーダーシップをとってやっていきます。
先生は、生徒に質問をすることでサポートします。
テーマについては、外部企業から、課題や依頼がきます。
生徒は、7-8week/グループで取り組み→、その後会社に発表します。
■テーマの例
【事例1】ユトレヒトの食品会社
「エナジー ドリンクを作ってほしい」
※条件は、カフェインはいれないもの
チームで協力して、すべて自分達で考えていきます。
▪どんな製品にするか
▪誰を対象にするか
▪対象者にインタビュー調査
▪試飲してもらう
※チームは4名で構成
企業が提供するのは時間がだけで、予算は出ません
【事例2】ユトレヒト↔️スキポール空港の間、電車が増えて騒音が増えた
「騒音の解決方法を提案」
1つのプロジェクトを1つのクラスでやることに!
↓
学校全体でプレゼンを実施(父兄も交えて)
↓
学校の案を選び、企業へプレゼン
▪一緒に問題を解決
▪物事を全体でみる
▪色んな会社にあるものをみる、知識を高める
▪自分を強化する
▪何を学ぶか
など、実践を通じて様々な力が身についていきます。
■テクナジウムのプロジェクトの流れ
本当の依頼者(企業や行政、各種団体)
↓
生徒が一緒に学ぶ
↓
オフィシャルなプレゼン(依頼者に対して)
↓
本当の製品化を行う(依頼者が行う)
■予算集めの方法
・PTA会費
・スポンサーを募る
・クラウドファインディング
で資金を集めています。
「自分のドローンを開発したいと希望した生徒がいた」
→自分でグラファンしてプロジェクトの取り組んだ
普通は、必要な物や予算は、学校が出すけれど、
ドローンは、予算がたくさん必要だったためそれができなかった。
それを受けて、本人が考えてクラファンを実施した!!!
■実施例の数々
【事例1】新しい公園を設計する
→子ども達にインタビュー
→住んでいる人にインタビュー
→デザインする
※市からの依頼
【事例2】月に永住するステーションを考える
→安全性を考える
→何が必要かを考える
※オランダの打ち合わせ開発機構からの依頼
【事例3】12.13歳の、女の子が子宮頸がんワクチンの接種率を上げたい!
→接種率が、上がらない理由を考える
→希望しない子が、接種するようになるアイディアや、ゲームを考える
※オランダの 保健機構からの依頼
1人の生徒が、 一年で4回pjに取り組みます。
最終学年以外は、プロジェクトは学校側から提示しますが、
最終学年は、自分達で依頼を探しにいきます。
依頼を探す方法は、自分の趣味や興味から探します。
5.6 年コースで、テクナジウムを実施しています。
テクナジウムの教員養成とサポート体制体制
2003年、テクナジウム財団がスタートしました。
二人の保護者が、立ち上げた財団です。
現在は、94校で実施しています。
94校をいくつかのグループにわけていて、
定期的に、情報交換したり
先生をコーチしたりします。
テクナジウムの先生同士で、サポートしています。
キャリア有りの先生が、初めての先生をサポートします。
テクナジウムは、理系のプログラムです。
先生の研修があります。
通常教科の先生は、生徒より知っていることを求められます。
生徒に知識を与えることが大切な役割です。
テクナジウムの先生は、与えるのではなく引き出す、コーチの役割が必要です。
生徒の質問を質問でかえし、自ら学び発見をサポートしていきます。
先生は、通常教科とテクナジウムの両方の授業を担当しています。
この学校には、テクナジウムの先生が10人います。
テクナジウムの先生になるためには、
4日間×2年の研修を受けます。
カリキュラムは・・・・
・コーチングをしながら授業をする
・PJを書く、つくる
・企業とのコンタクト・アプローチ、ノウハウ
・生徒をサポートしながら、どういうふうに成長させていたくのか
1ー3年生のクラスのテクナジウムの先生は、文系でもOKですが、
4・5・6年生のクラスのテクナジウムの先生は、理系である必要があります。
テクナジウムの評価・成績
個人評価とグループ評価の2つで評価を行います。
■個人評価
・個人の能力
・PJの中でどれだけ成長したか
低学年は、毎週自己評価+メンバー同士でお互いを評価します。
高学年は、2・3週間に1度行います。
■グループの評価
・グループの製品
・企業からの評価
で評価を行います。
■テクナジウムの財団が設ける評価
①生徒に必要な力
②先生の必要な力
※財団から提示されるが、評価は学校によって任されている(自由)
財団からは、最低限の要求が来ます。
それを受けて学校側がどうしたいか財団に伝え、財団がサポートしてくれます。
■質の確保について
財団は、2~4年に1度学校を訪問します。
・先生&生徒へインタビュー
・授業を直接チェック(質が保たれているか)
先生と一緒にミーティングをし、
テクナジウムの課題について話し合ったり
先生同士のコミュニケーションを持ちます。
先生によって、評価が変わってしまう可能性があるので、
対話しながら、確認していきます。
保護者、生徒、先生、企業へ、フィードバックが常に必要です。
そして、新しい課題が常に必要となります。
■テクナジウムが社会に与えた影響
オランダ人は理系の人材が少ないと言われてきました。
理系の人材を、海外からの人材で補充していた背景があります。
現在は、国内でできる!!!
視察の感想
テクナジウム、一言で言うと本当にすごかった!!
実際の課題を解決していく中で、学びを実践していく・・・
基礎学力が、自分が生きていくことと何に繋がっているのか。
自分の専攻している学びは、自分が生きていくことの何に繋がっているのか。
自分と、現実が。
自分と社会が。
自分と、将来が繋がっていく。
そんな学びをみた気がしました。
社会課題を、学生たちが解決していく動き、本当に素晴らしい!!
シチズンシップ教育にも繋がりますよね。
本当に、オランダの教育は、社会と今と深くつながった中で、進んでいっている。
どんな教育手法の導入よりも、この「繋がり」が一番大事であり、
この繋がる間隔があれば、人は、自ら学び深めていくのではないのかな。
そんなことを感じた時間でした。