視察日:2019年10月8日(火)
視察先:De Plaswijckschool(キリスト教立・多重知性論教育・VierKeerWijzer®)
私が一番大好きな教育、多重知性論教育(VierKeerWijzer®に視察に行きました!
学校に入る前から、とっても素敵な空間です。
学校紹介
学年ごとにクラスをわけることをやめました。
今は、3グループにわけています。
1・2・3のグループ(低学年)
4・5・6のグループ(中学年)
7・8グループ(高学年)
で、3つの学びの場のグループを創っています。
■多重知性論教育(VierKeerWijzer®)
VierKeerWijzer®(フィールキールバイザー: 4 倍賢くなるという意味)はアメリカの心理学者ガードナ博士の多重知性論
(MI)を教育の形にしたもので、オランダの元小学校校長 Marco Bastmeijer 氏が開発した。
人は一人ひとり個性がある。それぞれ得意な分野があり、思考も異なる。人は、できれば自分が好む分野や思考から行動したい。VierKeerWijzer は、人がそれぞれが持つ好奇心や動機から、いろんな学びができることを学校教育に実現させたもの。従来の学びのあり方を覆す、斬新的な学び。
子どもたちは、VierKeerWijzer の時間、自分の好きな知性を自分で選び、それを通して、地理や歴史、生物などテーマご
とに教科を学ぶ。地理や歴史、生物など、各教科がテーマになっていて各テーマに数週間取り組む。子どもは自分で好きな課題カード(知性で分かれている)が選べ、各自その課題に取り組む。子どもは、自分でそのテーマに関する知識を自分で探し収集して、地理や歴史、生物を習得していく。教師はコーチ的存在である。クラスにはテーマに関する「大きな問い」がいつくかあり、それに向けて、クラス全員で、各々の課題カードに取り組んで学びを広め、発表しながら、それぞれが学んだ内容をクラス全員で共有していく。
教師は、子どもが取り組む様子を見守り、フィードバックし、子どもが学びをさらに深めるような、好奇心を高めるような質
問をする。子どもと会話する中で、子どものテーマに関する視点や知識を確認し、把握する。
自分の好きな課題を選べるので、学びの主体は子どもにあり、子どもたちは、とても生き生きと自分の課題に一生懸命に
取り組んでいる。(VierKeerWijzer®説明資料より)
4×→4回賢くなるという意味です。
承認が出たのでシンボルをもらいました。
先生は、日常はいろんな教え方をしていること、
それをシステム化したのが多重知性論教育(VierKeerWijzer®)です。
毎年2回、マルコさん(多重知性論教育・VierKeerWijzer®の開発者)が来て授業をみてアドバイスしてくれます。
授業の実践をみて、マルコさんがフィードバックします。
■多重知性論教育・VierKeerWijzerの特徴
多重知性論教育(VierKeerWijzer®)は、4つのステップがあります。
①まず質問があります。低学年な3~4つ。中・高学年は、5つです。
②そこから、自分には何があうかなと考え、自分にあう課題を選びます。
③質問をもとに、実践・経験します。
④学びの結果が、自分の学びの結果となります。
クラスで学びの結果を共有することでクラスの学びの結果にもつながります。
各クラスに大きな問いが5つあり、子どもが課題を選びます。
(例)テーマ:西ヨーロッパについて
5つの大きな質問は
1、なぜEUは作られたのか?
2、大都市の特徴は何、世界にある大都市の名前を2つあげよ
3、フランスで思い浮かぶこと、7つあげよ
4、どの国がイギリスに属する国ですか?
5、海の気候の特徴、西風に影響していることは何?
この5つの問いに繋がる課題を選びます。
・自分で選ぶこと
・先生がこれもあるよ?と、ほかの物を進めること
どちらもあります。
(同じ傾向の質問ばかりの場合は、違うものを進めます。)
お互いを知りながら、みんなで学ぶことができます。
いくつかの学びのやり方から選ぶので、いろんなやり方を学ぶことができます。
テーマは、学校全体で同じテーマに設定しています。
※グループによってレベルが違います。
歴史、地理、自然を交互にテーマ設定しており、学びます。
それぞれのテーマをクリアーすることで、
中核目標をクリアーするように組まれています。
課題をやりながら、5つの解が見えてくるのです。
※子供が本当に理解しているかチェックすることもある(テストのようなもの)
※「解」はオランダの中核目標に準ずるものです。
plan は2年間で計画されます。
9月~スタートして夏までで、その間にいくつかのpriodがあります。(期間)
授業の様子
■group4・5・6の学びの場
65名の子どもがいます。
授業をする部屋が2つと、自習をする部屋が1つの合計3つの部屋が学習スペースです。
先生2名、実習生1名の合計3名でが担当しています。
朝登校し、自分の名前をチェックします。
その後、今日何をするのかを確認します。
1週間通じての課題は、紙で配ります。
質問のカードがありました!
この中から1つ選んで、子どもたちは、それに伴う学びを進めています。
それぞれが、それぞれの場所で学びを進めています。
先生がゴーダの話をします!とインフォメーションします。
生徒たちが自分で参加するかどうかを選びます。
聞きたい子が、集まります。
■group1・2・3の学びの場
家というテーマに取り組んでいました。
やりたいことを決める→自分で準備する→作業スタートという流れです。
設計士になって家を設計する
家の中の配線を作る
言葉→住居に関係する子ど場をスタンプでつくる
手を2回たたく合図は、静かにする合図です。
途中で、振り返りタイムがありました。
今、何をどこまでやったのか。
次の時間は、何をやりたいのか。
それを、一人ずつ先生に伝えて、次にやることを電子黒板上で表明していました。
他の学校だと、ホワイトボードの自分のマグネットを、活動のところにはる!ってやつですね。
ここでは、電子黒板スタイルでした!
この時に、順番が後のほうになると、やりたいと思っているエリアの定員がいっぱいだと、
やりたいと思っても、あきらめるということになり、そういう子が何人かいました。
先生が、どの子から話を聞くか、先生が順番を決めていました。
先生が決めることに、どんな意味があるんですか?(生徒が決めることはなにのか?)とお尋ねしたら。
・どの子から、どのような順番で進めるかは、その時々によって変えていること
・順番は先生が決める
・自分で決められないということも社会では当たり前にあること
・自分で決められない、自分の思い通りにいかない状況で、どうしていくかという学びも大事
・社会にありうるあらゆることを、学校で体験できるようにしている
・自分で選べることも、もちろん用意しているし、よくある
と話してくださいました。
自分で考えて、何をとるか決めていくこと
あらゆる状況で、自分がどうするのかを決めていくこと
などを通じても、
自分の学びを自分で管理することをトレーニングしていました。
先生と子どもたちは、いつも同じ目線^^
このような対話の場面は、いたるところあるのがオランダの学校なんですよね。
教室内には、様々な視覚ツールがありました。
■group7・8の広場
3つの部屋にわかれています。
①授業の部屋 すごく静かにする
②ささやきOKの部屋
③静かに集中したい部屋
子どもは自分で部屋を選んで学習します。
レクチャータイム(一斉授業)がありました。
レクチャータイムの後は、それぞれの課題に取り組む時間です。
こちらにも、課題カードが張られていました。
教室のデザインが素敵!!!ひな壇がありました。
とっても素敵だったので、ここで記念撮影をパチリ!
子どもたちも、先生も、たくさん質問してくださって・・
本当に「好奇心」が溢れた学びの場だと、肌で感じた時間でした!
■ルールを守ることを学ぶデザイン
こんな人形(シャーク)がありました!
シャークをおかれると・・・
1、完全に静かに
2、QAの質問もなし
3、課題をチェックすることも不可
4、その場所に座っておく
というルールになります。
どの学びの広場にもあるものだそうです。
シャークをおいてルールの中で過ごす時間は、年齢によって異なります。
■教材
・いろんな教材がある
・テクニックトール(実験教材)
・ゴールドマップ(ルールが書いてある)
・読解(ほかのやり方でやる)
・portfolio→作ったもの、学んだものをファイルする
一人一台のモバイル端末があります。
低学年は、タブレットです。
中学年と高学年は、ノートパソコンです。
国語や算数の学習アプリが入っていて、問題を解いているうちに、
自分の学習レベルの課題が出題されるようになっているそうです。(AI)
先生が、それぞれの課題設定をしなくても、
アプリでやってくれるので、先生たちはその傾向や進捗などを、
先生用のパソコンで確認、管理しています。
それをもとに、子どもに声をかけたりサポートを行っています。
低学年→なんでもやりたい!!
中・高学年→自分の好きなものが出てくるので、それとのマッチ。
その子にマッチしたやり方でやっていきます。
同時に、ストレッチも大事。
ストレッチは、コンフォートゾーンを出たやり方のこと。
自分には興味がない
選んだことがない
等、選ばないようなものも、やってみることでコンフォートゾーンを出た体験に繋がっていきます。
・人間として大切な力
・学ぶのが楽しい
・学力だけではない、ただし学力も大切
子どもは、
・いろんなものを経験する
・違うことが好きになることもある
それらを体験しながら、
自分の好き・得意がわかるように、サポートしていきます。
昔は、先生が決めたことをやるという教育で、
言葉だけの教育でした。
多重知性論教育(VierKeerWijzer®)を導入したとき・・・
多重知性論教育(VierKeerWijzer)のための先生になっているわけではない。
↓
自分たちがやってきたことやり方と全然違うやり方をやらなければならない
↓
あわない先生はやめていった
↓
多重知性論教育(VierKeerWijzer)が好きな先生が残った
先生方との対話にして
生徒が日本語で名札をつくって、胸にはっていたのは・・・・
今日、名札をつけていたのは、
「名札があったのほうがいいのでは?」と考えて、
先生に聞いて、名前を聞きにきて作ったものでした。
■進路の話
初等挙育は、授業のバリーションがたくさんありますが、
中等教育の進授業は多様ではありません。
まだ4・5年生はバリエーションがあるけれど、
6年コース(大学準備コース)は、バリエーションがないです。
6年コースの授業は、昔ながらの授業をやっているところが多いと感じています。
■学校としてこれから取り組みたいこと
国語と算数も、多重知性論教育(VierKeerWijzer)でやりたいと思っています。
今は従来のやり方をやっています。
やり方を全部かえるのはとても大変で、先生・保護者ともに抵抗もあります。
今までできている部分を守りながらやっていき、そしてやっていくことが大切だと考えています。
■多重知性論教育(VierKeerWijzer)をやってきていいなと思うこと
・子どもに主体性がある
・子どもが選ぶ、きめる、やる。そして発見する
・自分が何を知りたいのか、
・動機が自分の内側から出てくる(枠組みの中で行うこと)
・枠組みの中で、自分たちで選べる
・テーマが学校全体(全学年)なのがいい!!
・学びの場がオープン
・やりながら、先生の話が聞ける
・お互いでまなべる(学年を超えて学びあう)
・好奇心!!
・先生がこの教育ができるように流れをマスターしていれば、先生はあまりやることがない
・先生は時間があるので、子どもに声かけすることができる
(例)何を作っているの?
どうしてそれを作っているの?
ほかに何かを作ろうかと思っているの?
等
■新しい先生をどうやって育てるの?
力のいる大変なことです。
自分が経験していない、わからない状態です。
多重知性論教育(VierKeerWijzer)は、本を読んでもわからないし、できないです。
年に3回、マルコさんの研修があります。
自分のやり方について実践し、その実践をみてもらいます。
また、他の人の実践についていって、見て、学んでいきまうs。
テーマの準備は、時間がかかります。
しっかり準備ができれば、子どもを手放すことができます。
※先生が子どもを手放せない、これが一番大変!!
■1日のスケジュール(子ども)
朝 ワークル対話(どんな日になる、何をする?、歌を歌う、誕生日会など)
午前中 基礎学習(国語・算数)
昼食後 サークル対話
午後 多重知性論教育(VierKeerWijzer)
終わりの会
サークル対話(省察タイム、1日を振り返る)
視察の感想
私が大好きな教育、多重知性論教育(VierKeerWijzer)
オランダの学校は、どの学校も素晴らしいのですが、
多重知性論教育(VierKeerWijzer)の学校は、少し違う雰囲気があります。
まず、子どもたちが、とても好奇心旺盛なんです。
私たちが視察していたら、
どこに住んでいるの?とか、
日本はどんなところなの?とか、
関心をもってコミュニケーションをとってくる子どもがいます。
(多重知性論教育(VierKeerWijzer)の学校で、必ず出会います。)
好奇心や探究心を大切にしている教育だからこそなのかな?と
毎回思う体験です。
そんな中で、ある子がパソコンを持ってきて、
「どうやってきたの?」と声をかけてくれました。
飛行機ルートを知りたい!!というので、google mapで、飛行ルートを教えてあげると・・・
「どうして、そのルートなんだろう???(そんなに北側を飛ぶんだろう、まっすぐじゃないんだろう)」とぶつぶつ^^
次に、「日本は、ここでしょ?」とgoogle mapで見せてくれて。
「どこにすんでいるの?」と質問があったので、
「私が住んでいるのは、大阪っていう街だよ」というと、また調べる!!!
「ここ?」という問いに、「そうだよ!」と言ったら。
・・・ガッツポーズ^^
Google mapで移動しながら、大阪や東京を調べていました。
「オランダと違うものはたくさんあるけれど、1つ大きな違い「お城」を紹介するよ。」
と、大阪城を紹介すると・・・
「何これー!!!かっこいい!!!!!」
日本を見ながら、これは何?とか、全然違うとか、
コミュニケーションの時間、とても楽しかったです。
ありがとう^^
日本に、この教育で育つことができる場があれば、どんな素敵なことだろう。
どんな子でも、自分の才能や、関心、学ぶ楽しみ、世界の広がりなど、
たくさん体験しながら育っていけるだろうな。
そのために、何ができるのか。
あらためてそんなことを考えてしまう、時間でした。