【オランダ現地レポート】教育現場から見たロックダウンの今 〜かなさんシェア会より〜

こんにちは!
今回は、2021年3月6日に開催された「かなさんによるオランダシェア会」の内容をお届けします。

スピーカーは、オランダの小学校で低学年の担任をしている仲本かなさん。
オランダの教員養成大学で教員資格を取り、オランダで学校の先生になりました。

そして、オランダで高校の教師をされているディドリックさんもスピーカーとして登場してくださいました。
独学で日本語を学習したという、とても行動力のある方です。
そんなかなさんとディドリックさんが、現地オランダの今を教育の現場から語ってくれました。

オランダの今:ロックダウンと日常の変化

オランダでは、当初「インテリジェント・ロックダウン」と呼ばれる、
自主性に任せた形での規制が行われていましたが、2020年の秋頃からは完全なロックダウンへと移行。

☑スーパー以外の店は閉店
☑レストランは全て営業停止
☑ホテルは宿泊可だが、食事サービスはなし

という状況が続き、観光客の姿も消えてしまいました。
特にアムステルダムのような観光都市では、街の雰囲気がガラリと変わったそうです。

教育現場のリアル:学校はどうなっているの?

現在、小学校は再開されていますが、中学校はまだ週に1回程度の登校にとどまり、クラスを半分に分けての登校です。
小学校ではマスク着用は義務付けられておらず、できる限り通常の環境を保っています。
かなさんは小学校の先生として、多くの子どもたちと接しており、
「子どもたちからたくさんのエネルギーをもらっている。忙しいけれど、心の癒しになっている」
と笑顔で話してくれました。

■オンライン授業の工夫と学び

ロックダウン中はもちろん学校も閉鎖され、教育現場もオンラインへ移行。

☑小学校ではアシスタントが教室の子どもたちを見つつ、担任の先生はオンラインで指導
☑オンライン授業中には親が一緒に参加することもあり、家庭との連携も強まりました

また、高校の日本語クラスでは、ゲーム形式のアプリを使った授業も実施。生徒たちも楽しみながら参加できていたようです。
さらに、オンラインになると逆に話しやすくなる生徒もいたそうで、
「音声だけの授業にすると、リアルでは話さない子が積極的に参加してくれることもあった」とのことでした。

■オランダの若者たちのメンタルヘルスは?

長期にわたるロックダウンで特に影響を受けているのは、大学生や一人暮らしの若者たち。
大学の授業はすべてオンライン、外出も2人までと制限され、人と接する機会が極端に少なくなっています。
「大学生への支援が必要だという声はあるけれど、政府はあまり動いてくれない。期待はできないかも」
という声もありました。
孤独感に苦しむ人が増えており、公園に人が集まりすぎると門が閉められるなど、さらに孤立を深めてしまうような状況も見られます。

■オランダ人の気質と社会の反応

オランダでは自己主張が強い人も多く、現在の厳しい規制に対して、毎週のようにデモが行われています。
夜間外出禁止令への反発もあり、「デモに参加する」という口実で外出する人も。
一方で、現実を冷静に受け止め、我慢して日常を過ごす「クール」な人たちも多くいるそうです。

■オンライン教育から見えた、新しい学びの形

かなさんは、オンライン授業には課題もある一方で、「親が授業に参加してくれたり、家庭で一緒に学ぶ機会が増えたことはプラスだった」と話します。
特に印象的だったのは、小さな子どもたちと一緒に親がカップケーキやスープを作ったりする授業。
家庭と教育がつながった瞬間が、画面越しに何度も見られたそうです。

■教師のケアとチームとしての教育現場

ロックダウン後、先生たちも「どうやったら安全に働けるか」を率直に話し合う場がもたれ、
学校としてチームで取り組む姿勢が強まったそうです。

「まずは先生が安全であること。それが子どもたちの安心にもつながる」
という言葉が、とても印象的でした。

■最後に:かなさんが伝えたいこと

最後にかなさんは、子どもたちの「心の健康」が最も大切だと語ってくれました。
「この1年、子どもたちが“安心できたか”、“楽しいと思えたか”を大切にしたい」
オンラインでもリアルでも、教育とは“人と人のつながり”なのだと、あらためて感じさせられるシェア会でした。

おわりに

オランダという異国の地で、子どもたちの笑顔と向き合いながら、日々奮闘するかなさんのお話から、たくさんの気づきと元気をもらいました。
今後も、現地のリアルな声を届けていきたいと思います。
かなさん、素敵なお話をありがとうございました!